Rocket – R is for Rocket

ロサンゼルスを拠点とするバンドRocketは、ここ数年多忙を極めています。幼少期からの友情を持つこのクルーは2021年に結成され、目印のない小屋に集まってデビューEPをレコーディングしました。Alithea Tuttle（ボーカル、ベース）、Baron Rinzler（ギター）、Cooper Ladomade（ドラム）、そしてDesi Scaglione（ギター）が「バンド」というアイデアに真剣に取り組むのはこれが初めてだったにもかかわらず、彼らはまるで最初から完成されたかのように、爆発的で完璧な楽曲を生み出しました。

カルテットの素晴らしいデビューアルバム『R is for Rocket』は、壮大な音量、アンセミックさ、大げささ、そして美しさを兼ね備えた音の旅です。「One Million」、「Wide Awake」、「Crossing Fingers」、「The Choice」といった曲は、Rocketの夢のような激しさを際立たせています。分厚いギターの爆音と推進力のあるリズムは、Tuttleの甘く催眠的なボーカルと、聴く人をひざまずかせるようなダイナミックな変化によってバランスが取られています。バンドのギザギザとしたファズの効いたサウンドは、Sonic YouthやMy Bloody Valentineといった90年代のギターバンドにルーツがありますが、Rocketはそれらの影響を独自の方法で消化しています。彼らが同世代で最も有望なギター主体のバンドの一つとして広く認識されているのも当然でしょう。

このアルバムは、批評家から高く評価されたEP『Versions of You』のエネルギーを基盤にしていますが、『R is for Rocket』はバンドの技術を大きく向上させた、極めて進化的な作品でもあります。2024年初頭にアルバム制作に着手する頃には、彼らはほぼ絶え間なくツアーを行い、Ride、Sunny Day Real Estate、Silversun Pickupsといった憧れのバンドのオープニングアクトとして数えきれないほどの時間を過ごし、ドラマーのCooper Ladomadeの実家の裏庭にある質素なスタジオで曲作りを行い、サウンドの洗練と拡大の両方を行いました。

Tuttleは「すべてのツアーが楽曲をより良くしました。なぜなら、様々な種類のオーディエンスのために演奏し、何が効果的で何がそうでないかを知ることができたからです」と語っています。ツアーから帰宅するたびに、彼らは制作中の曲を完成させるための新しいアイデアに満ち溢れ、Rocketが時間をかけて磨き上げたおかげで、多くの曲が大幅にアップグレードされました。Scaglioneは、「アルバムの後半を前半から8ヶ月後にレコーディングしたことで、自分たちが何をしているのかをじっくり考える時間が持てました。もっと良くできると感じたため、3曲を再レコーディングしました」と述べています。

ギタリストのDesi Scaglioneが再びプロデューサーとして指揮を執り、Rocketはロサンゼルスの2つのスタジオで時間を費やし、両極端なサウンドを完璧にバランスさせました。よりヘヴィーな部分は、Foo FightersのノースリッジにあるStudio 606でのセッション中にトラッキングされ、「Crossing Fingers」や「Wide Awake」のような曲で望むような壮大なドラムサウンドを得ることができました。その後、より内省的な要素は、ハイランドパークにある64 Soundでレコーディングされました。このスタジオは、より静かで親密な曲に理想的な、魅力的なヴィンテージ機材を豊富に提供していました。

EPからの大きな変更点の一つは、彼らが意図した壮大で骨太なギターサウンドを実現する方法を再考したことです。Scaglioneは、「通常、ディストーションサウンドを得るためにBig Muffペダルを使っていましたが、今回は歪んだりオーバードライブしたサウンドには、クランクアップしたアンプのみを使うようにしました」と説明します。彼らは「Wide Awake」という曲でドラムのダブルトラッキングを試みました。これは、メロディーのより壮大で実体のない感覚に対する、素晴らしく予想外の対比となっています。Rinzlerはこう語ります。「まるで明晰夢のようです。催眠的で、ギターとメロディが互いに絡み合い、逃れられないようなドローンサウンドを生み出します。そしてその下には、骨を砕くようなダブルドラムキットがあり、ラージ・ハドロン・コライダーの中の原子のように互いにぶつかり合う音が聞こえます。」今回初めて、楽曲にはピアノ、ファーフィサのコンボオルガン、そしてメロトロンの装飾が施され、メランコリックな「Number One Fan」にその彩りが加わっています。

同時に、レコーディングがライブパフォーマンスの生々しいインパクトを維持するようにすることも重要だと考え、Scaglioneはすべてをライブでレコーディングすることで、その種の音響的な激しさを忠実に捉えるために勤勉に作業しました。「このアルバムを最初から最後まで自分たちで完成させたことが、私にとって最も満足のいく部分でした」と彼は言います。「最終目標に向かって自分で決断を下すことは非常にやりがいがあり、ある意味で治療的です。」

Tuttleも歌詞の中で新たなテーマ領域を探求し、初めてロマンチックな関係とその課題に深く踏み込んでいます。例えば「One Million」は、誰かに歩み寄ってほしいと願うが、それが実現するかどうかは分からないという内容です。Tuttleは、この曲が「できる限りのことをし、誰かのためにあらゆる努力を払い、その人が自分にとってどれほど大切か気づいてもらうためなら、100万年でも待つという気持ち。そして、常に自分が相手をより深く愛してしまうかもしれないという事実に納得することを学ぶこと」につながると語ります。また「Crossing Fingers」は、「誰かとの関係に深く陥り、すべてを台無しにしてしまうのではないかという恐怖の重荷を背負う」物語を語っています。そして「Number One Fan」は、「恥ずかしげもなく、ただ純粋なラブソング」だと彼女は言います。全体を俯瞰して、Tuttleはこう述べます。「レコードを完成させ、歌詞を振り返る時間を持った後、間違いなく全体的なテーマがあると言えます。アルバム全体が人間関係についてです。良い関係も悪い関係も、ロマンチックな関係もそうでない関係も、友情も家族も、そして主に自分自身との関係です。私は完全に無意識のうちにそれにたどり着いたと思いますが、レコードを聴き返すと、それが非常に顕著で明白です。人生は本当に人間関係がすべてであり、私たちのほとんどがほとんどの時間をそれについて考えているのだと思います。」

最終的に、彼らの音楽の背後にある最も重要な力は、長年にわたって変化し成長してきた彼ら自身の深い友情、つまりお互いとの関係であり、それが彼らの活動すべてを育んでいます。Scaglioneは、「私たちは皆、まず人間として、そして音楽的にもお互いを非常に深く理解しています。親友であるということは、通常の生活においても、そして私たちの創造的な決断においても、計り知れないほどの信頼があるということであり、それが私たちを素早く作業することを可能にしていると思います。私たちは皆、お互いの音楽的なアイデアを受け入れ、最終的な目標やビジョンをすぐに理解できなくても、それらすべてを実現しようとします。音楽を作り、これらすべての経験を共に分かち合えるという事実は、本当に特別なことです」と語っています。