Ro70 – Ro70

ARTIST : Ro70
TITLE :
LABEL : sistermidnightentertainment
RELEASE : 4/1/2022
GENRE : electronica, ambient
LOCATION : Berlin, Germany

TRACKLISTING :
1.Einklang
2.Gog
3.Alma
4.Room 385
5.Visible Speech
6.Magog
7.FM Rhythms
8.Ballon Above Java
9.10 To 10
10.Künstlicher Ausklang

Roman Flügel(ローマン・フリューゲル)のディスコグラフィーという膨大な音楽アーカイブの中で、は特別な位置を占めている。1995年1月から7月にかけて作曲、演奏、制作されたこのアルバムは、彼の本格的なソロ・アーティストとしてのデビュー作である。ハイデルベルクのDavid Moufangは、SAE InstituteでJörn Elling Wuttkeと教室を共有しており、Acid Jesusのファンであり、Roman IV 12インチプロジェクトにも参加していたことから、彼の(そしてJonas Grossmannの)レーベルSource Recordsに問い合わせ、インスピレーションを得て制作されました。

ファイル共有のなかった時代、ダルムシュタットとハイデルベルグの間で、母親のフォルクスワーゲン・ポロ・フォックスに様々なDATを積んで、実際にリスニング・セッションを行ったり来たりすることを意味していたのだ。その時間は、Source Recordsの音、そしてもちろんRo70そのものと同様に、特別で特異なものだった。かつてのアンダーグラウンド現象の商業的な展望が明るく、シーンの予言が厳しいものに見える中、Sourceのような企業や Roman Flügelのようなアーティストは、独自の手段でそれらのコーナーからあらゆる競争に対抗していたのだ。

Ro 70の10曲を聴き返してみると、彼ら、彼らのセンス、芸術的なビジョンが正しいことがわかる。おそらく今でもほとんどのレコードショップでアンビエント、ダウンテンポ、エレクトロニカ、チルアウトのコーナーに置かれていると思うが、この音楽は1995年から現在までの間にいつでも作られ、楽しまれ、大切にされることができたはずだ。Romanの実家のスタジオかEgelsbachのKlangfabrikスタジオで作られたこの作品は、レイブの前か後に、あるいは何もしたくない人たちのために作られた。彼のシグネチャーはこの作品に全て詰まっている。バランスのとれたサウンドスケープに、不思議なほどの存在感と透明感。現代のクラシックやエレクトロニカに劣るとは思えないほろ苦いシンフォニー。

また、この作品は、フランクフルト・アム・マインというテクノの街と、デリリウム・レコードショップ、スヴェン・ヴェートのマラソンセット、プレイハウス、クラング、オンガクという3つのレーベルの初期の頃の、揺れ動くテクノの渦に巻き込まれようとしていたアーティストの人生のある時期に対する非常にパーソナルな証しでもあるのだ。歌詞のない音楽ジャーナルでは、これらの思い出はパントマイミックのまま、プライベートなものにならざるを得ない。少なくとも、私たちがそれらを聴くことができるのは、良いことだ。