Ducks Ltd. – Modern Fiction

Tom McGreevy(トム・マクグリービー)（リードボーカル、ギター、ベース、キーボード）とEvan Lewis(エバン・ルイス)（ギター、ベース、ドラムプログラミング）によるトロントのジャングルポップデュオ、Ducks Ltd.（旧Ducks Unlimited）は、不可能を可能にします。2人は、非常に具体的なインスピレーションに基づいて、それに溺れることなく曲を作っています。これは、高い評価を受けたEP ‘Get Bleak’ ですぐに証明され、デビューLP ‘Modern Fiction’ ではさらに鋭くなっています。「The Servants, The Clean, The Chills, The Bats, Television Personalities, Felt」とエヴァンは語ります。「Look Blue Go Purple は、私たちのプロダクションでよく参考にしている音楽です。」80年代のインディーポップの響きがふんだんに盛り込まれていますが、決して圧倒されることはありません。結局のところ、これはノスタルジックなレコードでもなければ、派生的なレコードでもありません。それどころか、Ducks Ltd.は10曲の陽気なサウンドの中で、衰退しつつある現代社会を探求し、個人的な混乱を通して大規模な人間の災難を検証しています（このタイトルは、グレアム・グリーンの小説に影響を受けた大学の授業「Gnosticism and Nihilism in Modern Fiction」から取られたものです）。

このアルバムの制作は親密なものでした。トムはアンプラグドのエレキギターで曲の核となる部分を作り、それをエヴァンのアパートに持ち込みました。2人はエヴァンのベッドルームで、生まれたてのメロディーの下にドラムマシンのパーカッシブなビートを置き、ベースを行き来させ、必要に応じてオルガンやブリッジを加えました。「コンピュータ・ミュージックが、コンピュータ・ミュージックに聞こえないようにするのに必死なんだ」とトムは冗談を言っている。限られた高価なスタジオでの作業は、彼らの魅力的な素朴さを損ない、プロジェクトの創造性を失わせることを恐れ、二人はエヴァンの上司が所有する倉庫でアルバムを再録音しました。Go-Betweensの “Cattle and Cane” の間奏曲 “Patience Wearing Thin”では　Aaron Goldsteinがペダル・スチールを演奏し、チェロの Eliza Niemiが参加する1997年にOasisが演奏した “Don’t Go Away” にインスパイアされた “18 Cigarettes”、そして Carparkのレーベルメイトである The Bethsのバッキング・ハーモニーで参加する遠く離れた場所での友情への歌 “How Lonely Are You？” や “Always There” など、コラボレーションによる装飾が施されています。そしてシド・バレット風にアレンジされた “Under The Rolling Moon” コヴィッド19の影響で母国オーストラリアに滞在していたエヴァンは、プロデューサーのJames Cecil (The Goon Sax, Architecture in Helsinki)）と緊密に協力して、モダン・フィクションの仕上げを行いました。ある時は、ビクトリア州のマセドン山脈の山中で、ストリングス・カルテットを録音しました。

ダンサブルで鬱屈した楽しさがありますが、救いもあります。”Always There” と “Sullen Leering Hope” では、’Modern Fiction’ の忠実な心が表現されています。「私の作品には、私の世界観から、非常に暗いものになる傾向があります。」トムはこう説明します。「私が自分自身の中でいつも見ているわけではなく、他の人の中で本当に評価しているのは、先に進むための勇気です。」 しかし、このレコードは、ポップスファンが恋に落ちるのに十分な回復力を備えています。