ARTIST : Desert Liminal
TITLE : Glass Fate
LABEL : Whited Sepulchre Records
RELEASE : 11/17/2021
GENRE : artpop, dreampop
LOCATION : Chicago, Illinois
TRACKLISTING :
1.Watercolor
2.Flicker Screen
3.New Tongue
4.Heaven Bent
5.Poppy Seed
6.Rainbow Sherbet Sky
7.Fire Escape
8.Disco Spring
9.Jewel Box
“I don’t need no southbound highway sign to tell me HELL IS REAL”。
このデビューシングル “New Tongue” の冒頭の言葉から、シカゴを拠点とする Desert Liminalの2ndアルバム ‘Glass Fate’ がスタートします。’Glass Fate’ は、Sarah Jane Quillin(サラ・ジェーン・クイリン)がこのアルバムを制作している間の潜在意識へのロスト・ハイウェイの旅へと誘ってくれます。曲は、親を亡くし、最愛のバンド Heavy Dreams(DEHDのEmily Kempfとのコラボレーション)が解散し、親友である Desert LiminalのドラマーRob Loganがライブ中に超現実的な臨死体験をしたことを受けて、クイリンの希望と悲しみを描いた集合的な瞑想曲となっています。Desert Liminalのサウンドは、ビンテージ・シンセサイザーとバイオリンをディストーション・ペダルでフィルタリングした温かくループする壁の上に、クイリンの妖しいボーカル・メロディーを重ねることで、このヘビーさを高揚感と煮えたぎるようなエクスペリメンタル・インディー・ロックに表現しています。Rob Logan(ロブ・ローガン)のドラミングは、ポストパンクのようなドライビングなドラムグルーヴから、思慮深く抑えられたポリリズムまで幅広く、このレコードを盛り上げています。
この倒錯したパワー・トリオを完成させているのが、2019年に参加したバイオリニストで多作なノイズ・アーティストの Mallory Linehan(マロリー・リネハン)(Chelsea Bridge)で、広々としたストリングスとテープ・ループが、共鳴するリバーブとディレイの暖かいウォッシュに溶け込んで、トリオのサウンドを完成させています。’Glass Fate’ を一聴すると、クィリンの滑るような歌い方をスマートなフックとメランコリーに近い内省的なメロディーに絡ませた、温かく魅力的なアートポップを生み出す鋭い耳を持ったバンドであることがわかります。これらの曲は、音源から離れるにつれ、より頭脳的な領域に入っていきます。ドローンのようなバイオリンとループする声が首を締め付けるような音場を作り出しており、これは Tony Conradが最も親しみやすかった頃や、Haley Fohrが声と息を使って実験したことを思い起こさせます。これらのサウンドは、意味や参照がユングの元型へとゆっくりと消えていく限界の空間に同居しており、トリオの堅実で現実を肯定するソングライティングの強力な把握によって、再び元に戻ります。