A$AP Rocky – ‘Long Live A$AP’ (Polo Grounds/RCA)

クラウドラップって、なんでそうよばれる理由はよく知らないし、調べる気もないんですが、わりとしっくりくる呼び方ですよね。単純に曇りがちのラップとも言えるし、ネット上のものを差してそう呼ぶのかもしれないし、結構便利な単語です。そんなクラウド界の王子様、A$AP Rocky のセカンドになります。音楽が曇っていて、アングラな志向であってもヴィジュアルが先行するのはヒップホップ、ラップ界のすこし苦手なところで、こちらの作品もジャケットは本人でちゃってる系。アー写ジャケットだと印象がメインストリームのヒップホップを想像しがちになってしまうので、その点ではもう少し考慮してもらえると嬉しい。アートワークがそれなりなものだったら、アングラ・ファンにも支持されそうなんだけどね。それは望んでないのかね。くどくど言う必要ないかもしれないけど、けっこう重要だと思うんです。なので、こちらの Long Live A$AP は、ぼちぼち頑張っていますが、アートワーク的にはいまひとつです。しかし、音楽になるとね、これがめちゃクールでやんす。アルバム通じて鳴るビートは、ハイハットとスネアが軽くてシャープな最近のビートものにトレンドな例のやつです。このビート感が今の時代のアングラを表現しているのかも知れないが、そうはいってもあらゆるところで聴こえてくるし、それだけで完結するものではない。よくチルウェーヴ以降的な扱いもあるようですけど、メロウなシンセを加えたループ・トラックや、やはりトレンドのスクリュー、そしてウィッチな要素を混ぜている。そしてそれらがただズブズブに展開するのでなく、そこそこ明るいというか、メロディアスなのが良いのでしょう。そして、そこに鼻から抜けるようなルーズなヴォーカルとラップが重なるとかなり気持ちよい。この辺がバキバキなベース系ラップとは違う点。これらがうまく散りばめられていて、アルバム内の強弱を付けており、それで飽きずに惹き付けられるものになっているのかな。ここまで完璧にクラウドラップを演じると、一過性な作品になる可能性もあるけど、時代性を楽しむのは悪くない。あと不満があるとしたら Kendrick Lamar らが参加した曲とその前のブリブリな曲、この流れの中では合っていない気がするので好きじゃない。

8.0/10